八王子車人形西川古柳座

平家物語

平家の山の陣の侍大将、越中前司盛俊は大臣宗盛の命令により、故清盛の弟,常盛に安徳帝と三種の神器を守護一刻も早く八島に逃れるよう告げるため,経盛の仮館に注進しにやってきました。応対に出たのは,経盛の子の無官太夫敦盛でした。盛俊は経盛が夜のうちに帝と神器を守って八島に向け出船したことを知って安堵し,敦盛にも退避をすすめて戦場に去っていきます。敦盛は経盛から別れの間際に聞かされた後白河法皇の落胤という出生の秘密と、そのため京に帰るようにとの命令を思い返しますが,今こそ報恩の時と出陣の意を決し、妻の其尾を呼び出して後生の弔いを頼みます。敦盛は悲しむ妻に佩刀の短刀を、また間もなく生まれてくる子には観音像を形見として与えます。其尾が諦めたのか筝を取り出すと敦盛も愛笛を取り出し、2人でなれそめとなった思い出の曲を演奏します。遠くに陣太鼓が聞こえ、源氏の戦陣が見えてきました。敦盛は馬をひきだします。