八王子車人形西川古柳座

伊達娘恋緋香子

 天和3(1683)年に放火の罪で処刑された八百屋お七の物語を、お七が放火の代わりに火の見櫓に上り,半鐘を打つという筋に改めた新趣向で人気を得た,といわれています。
「火の見櫓の段」
 高島家の臣下、安森源次兵衛の遺児吉三郎は、江戸吉祥院の寺小姓だが、主家のために行方知れずとなった天国の剣を探していました。この吉三郎と恋仲の八百屋の娘お七は万屋武兵衛がこの剣を持っていることを知り,吉三郎に知らせようとします。そして、夜中で町の木戸が開かないので,火刑を覚悟で禁制の火の見櫓の半鐘を打って木戸を開かせ,女中のお杉が武兵衛から盗み出した天国の剣を持って、吉三郎のもとへと急ぐのでした。
雪の降りしきる中,髪を振り乱したお七の美しさは見るものを陶然とさせます。